【3月10日 AFP】ミクロネシアのデービッド・パニュエロ(David Panuelo)大統領は、AFPが10日入手した議会宛ての書簡の中で、中国の賄賂、嫌がらせ、「政治戦」を糾弾した。

 退任間近のパニュエロ氏はその中で、中国の諜報(ちょうほう)活動、政府関係者による強要、自らの身の安全に対する「直接的な脅威」が疑われた事例を詳述し、自国の議員らに「わが国における政治戦」だと警告している。

 さらに、中国は「わが国の主権を損ない、わが国の価値観を否定し、わが国の選挙で選ばれた政治家を自分たちの目的のために利用する高い能力を発揮している」と酷評した。

 パニュエロ氏は南太平洋における中国の勢力拡大について、以前から懸念を示してきた。中でも中国軍の配備を可能にする安全保障協定に反対している。だが今回の内容はいっそう踏み込み、人口の少ない島しょ国であるミクロネシアが属国化する危険性を次期政権に警告している。

 パニュエロ氏は自らの政権下で、2国間会議の内容を録音したものを直接中国に送信した閣僚がいると主張。「わが国は賄賂を受け取って加担し、沈黙している。(賄賂とは)重い言葉だが、正確な表現だ」「中国大使館での食事会や就任式の後に金銭の入った封筒を渡されることを、他に何と呼ぶのか」と批判した。

 昨年7月にフィジーで会議に出席した際、「2人の中国人男性」に尾行されたとも述べている。2人とも大使館員で、1人は後に中国軍の「情報部員」だと判明したという。

 また「公的な立場で行動する中国の高官から、私個人に対する直接的な威嚇もあった」とし、中国製の新型コロナワクチンを受け入れるよう、中国大使から「絶え間なく」電話がかかってきたために電話番号を変更しなければならなかったともいう。

 パニュエロ氏はまた台湾外相と、中国の資金や財政的支援から距離を置くための協定について協議していたことを明らかにした。(c)AFP