【1月4日 AFP】自転車ロードレースのマーク・カヴェンディッシュ(Mark Cavendish、英国)が、家族もいる自宅で強盗被害に遭った事件の裁判が3日に行われ、同選手が犯人からナイフを突きつけられて脅されていたことが分かった。

 事件は2021年11月27日の未明に発生。犯人たちは英ロンドンから北東へ約40キロのところにあるカヴェンディッシュの自宅に侵入し、合計で70万ポンド(約1億1000万円)の価値があるリシャール・ミル(Richard Mille)の腕時計2本を奪った。

 検察側の陳述によれば、カヴェンディッシュは妻のペータさんと幼い子どものうち一人と一緒に眠っていたところを、物音で目を覚ました。そして覆面をした犯人の一人が「ナイフを取り出し、子どもたちの前で刺すぞと脅した」という。「この時点で部屋には3人がいて、犯人たちは時計はどこだと聞いてきた」という。

 また検察は、ペータさんの奪われた携帯電話が家の外で見つかったことを明かし、「強盗の一人が電話を置き忘れた」のは「入念に計画、実行された犯行の中で起こったミス」だったと話した。警察はこの電話を法医学的に調べて28歳のアリ・セサイ(Ali Sesay)容疑者のDNAを検出。セサイ容疑者は「すでに強盗の罪を認めている」という。

 さらに検察は、「これにより、セサイ容疑者所有の携帯電話と連絡を取り合っていたと思われる別の人物たちを特定できた」と述べた。事件では、ロンドンに住む31歳のロマーリオ・ヘンリー(Romario Henry)容疑者と28歳のオルデワ・オコロソボ(Oludewa Okorosobo)容疑者に強盗の疑いがかかっているが、二人はこれを否認している。

 カヴェンディッシュはツール・ド・フランス(Tour de France)で歴代最多となる区間34勝を挙げている選手で、2016年のリオデジャネイロ五輪では自転車トラック男子オムニアムで銀メダルを獲得した。(c)AFP