【11月6日 AFP】オランダ・ハーグ(The Hague)のブレディウス美術館(Museum Bredius)は3日、1世紀前に収蔵された油絵が、「夜警(The Night Watch)」などで知られるオランダ美術の巨匠レンブラント(Rembrandt)の真作だったと発表した。長年、模倣品だと考えられていた。

 真作と判明したのは1640年代に制作された「キリスト昇架(Raising of the Cross)」。油絵の具を使った素描(スケッチ)で、1921年から展示されていた。

 絵を購入した同美術館の創設者で最初のキュレーター、アブラハム・ブレディウス(Abraham Bredius)氏は、レンブラント本人の作品だと確信していた。

 だが、専門家は絵のタッチが荒いため、「拙い偽物」だと判断していた。

 ロッテルダム(Rotterdam)のボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館(Boijmans Van Beuningen Museum)の元キュレーターで、この絵を「再発見」したイェルン・ギルターユ(Jeroen Giltaij)氏は「これは油絵の具を使ったスケッチだということを忘れてはいけない」と指摘した。

「レンブラントの絵は通常とても正確で洗練されているが、これは非常に粗い」「なぜなら、別の作品のためのスケッチだからだ。構成や完成品がどのようなものになるかというおおよそのイメージを示そうとしていた」

 ギルターユ氏らの研究によると、筆使いもレンブラントのものと一致している。

 研究内容は、分析のためアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)とも共有された。

 ブレディウス美術館は「キリスト昇架」の材料の使い方について、「アムステルダム国立美術館の研究者らは、レンブラントの特徴と矛盾するものは何も見つけられなかった」としている。(c)AFP/Jan Hennop