【10月11日 AFP】イタリア・フィレンツェ(Florence)のウフィツィ(Uffizi)美術館は10日、同館が所蔵する名画「ビーナスの誕生(The Birth of Venus)」を「許可なく使用した」として、フランスの高級ブランド、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)を提訴する意向を明らかにした。

「ビーナスの誕生」はルネッサンスの画家サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)が1480年代半ばに制作した代表作。大きな貝殻の中に立ち、長い髪で下腹部を隠しているビーナス(女神)の周りに他の神々が描かれている。

 美術館によると、ゴルチエの複数の衣類で、同館がウェブサイトやソーシャルメディアに掲載した写真が使われている。例として、腰回りに作品の一部が印刷されているズボンをはいたモデルの画像のスクリーンショットが示されている。

「ビーナスの誕生」の絵柄はこのほかにも150ユーロ(約2万1000円)のスカーフや、590ユーロ(約8万3000円)のワンピースなどにあしらわれている。

 美術館は、ゴルチエが絵を「無許可」で使用し、使用料を払っていないと主張し、損害賠償を請求する構えだ。商品の販売停止か、金銭契約を結ぶことを要求している。

 美術館は4月にゴルチエに書簡を送ったが、無視されたという。

 世界的には、米シカゴ美術館(Art Institute of Chicago)、ニューヨークのメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art in New York)、オランダのアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)などのように、所蔵作品の多くの著作権を放棄し、パブリックドメインとして開放している美術館もある。(c)AFP