【10月18日 AFP】「ずっとロシアの国旗を縫っていた」。今年に入って2回目のクーデターが起きた西アフリカ・ブルキナファソでは今月初め、ロシアを支持するデモが行われ、首都ワガドゥグで仕立屋を営むアラサンさんは、休む間もなく仕事に追われた。

 首都でのデモではロシア国旗の白、青、赤が目立ち、アラサンさんは「大量の注文が殺到したが、今は落ち着いた」と話した。

 ブルキナファソでは、イブラヒム・トラオレ(Ibrahim Traore)大尉が主導する勢力が新たなクーデターを起こし、1月のクーデターで政権を掌握していたポールアンリ・サンダオゴ・ダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐を追放した。

 両者とも過激派との戦いには自身が指導者としてふさわしいと主張して対立した。だが、双方とも反フランス、親ロシアという共通項を有している。ブルキナファソはアフリカでまた、親仏路線からロシアの影響下に転じる国になってしまうのだろうか。

■ドミノ理論

 アフリカでは中央アフリカ共和国に続き、ブルキナファソの隣国マリがロシアとの関係緊密化で合意し、同国の軍事支援を受けてフランスの影響が低下する流れになっている。

 マリの軍政を支援するロシアは、戦闘機やヘリコプター、戦闘員を提供するとされている。軍は、戦闘員は軍事トレーナーと説明しているが、西側諸国はロシアの民間軍事会社「ワグネル(Wagner)」の傭兵(ようへい)だと指摘している。

 ロシアと関係を深めるマリとの関係が悪化したフランスは今年、2013年からイスラム過激派との戦いに従事してきたマリ駐留部隊を撤退させた。

 サヘル(Sahel)地域やその周辺のフランス語圏で、同国は情報戦争において守勢に立たされている。1960年代初めに終わった植民地支配の過去や独立後の干渉に対して、ソーシャルメディア上でやり玉に挙げられている。

 ただ、専門家はブルキナファソが、フランスと深い関係を持ちながらロシアの影響下に入る新たなアフリカの国になるとの結論を下すのは時期尚早との見方を示している。サヘル地域のある外交官は「全体像が判明するまで数か月間は何が起きるか様子を見る必要がある」と述べた。