銭湯、生き残り懸け工夫 全国で10分の1の軒数に
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■番台がバーカウンターに
ある土曜日、東京・錦糸町にある「黄金湯(Koganeyu)」の「番台バー」は、クラフトビールを飲み、レコードを聴く若い客でにぎわっていた。この銭湯は2020年に全面改装し、リニューアルオープンした。
IT関連で働くという25歳の男性客は、黄金湯のサウナを利用するために友人と1時間かけて来たと言った。
「(銭湯には)おじいちゃん、おばあちゃんが多いイメージはあるんですけど、こういうおしゃれな所とか、最近の銭湯にはそういうイメージがなくて、結構若い人が多い。一人でも、友達とも行きやすい」
■データと銭湯
オーナーがデータ解析のスキルを生かして利用者増に成功している銭湯もある。品川区大崎の銭湯「金春湯(Kom-pal)」だ。
金春湯ができたのは1950年代。現オーナーの角屋文隆(Fumitaka Kadoya)さん(36)は光学機器メーカー、オリンパス(Olympus)の技術者だったが、3年前に退職して家業を継ぎ、顧客情報や来店タイミングを追跡するデータベースを構築した。
そのデータを生かし、例えば、女性客を増やすために女性スタッフを採用したり、混雑を緩和するために日曜日は午前中から営業したりと、ターゲットの明確な経営判断を下すことができるようになった。
「銭湯は昔から日本の文化でずっと続いてきて、(それが)今はすごく数が少なくなってきちゃってるんです」とAFPの取材に語った角屋氏。最近では銭湯へ来て湯に漬かる間、すべてをロッカーに預けることが、一種の「デジタル・デトックス」になっているのではないかと言う。「電子機器から離れて気持ちを落ち着かせる、リラックスする時間が今の若い人にとってはすごく必要だと思います」 (c)AFP/Katie Forster and Atish Patel