【8月10日 CNS】中国南西部の貴州省(Guizhou)などに住む少数民族、ミャオ族は1000年以上前から「酸っぱい味」を中心とした食文化を持つ。貴州地方は険しい地形と雨が多く湿度が高かったため、塩が非常に不足していた。清朝時代の調査記「続黔書」によると、貴州地方では当時、塩1斤 (約0.5キロ)を手に入れるのに米1斗(約6.25キロ)と交換する必要があった。しかし、この「ジレンマ」があったからこそ、苗族の人々は「塩の代わりに酸を使う」という知恵を発揮した。

 ミャオ族の「酸湯魚(Suantangyu、酸っぱい魚のスープ)」は「黔(貴州省の別称)料理」の顔と言える。清らかな湧水を使用した赤い酸味のスープにスライスしたショウガと青唐辛子、トマトを加え、新鮮な魚と酸味のあるスープが鍋の中で引き立て合っている。

 現在の酸湯魚は、遠方から訪れた友人に貴州の味を振る舞う珍味となっているだけでなく、多くの苗族にとって家族のつながりを豊かにする「宝物」にもなっている。酸湯魚だけでなく麺、ご飯、総菜、飲み物など「何でも酸っぱくできる」という食文化を、苗族は中国の山奥から世界の津々浦々に広めた。酸っぱい料理は国内外の美食家の新しいトレンドになっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News