【6月26日 CNS】今年は中国から米国にパンダが贈られてから50年を迎える。1972年、当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領が訪中した際、中国政府は2頭のパンダを贈ることを決定。2か月後、パンダの玲玲(Ling Ling)と興興(Xing Xing)がワシントンに到着したときは8000人の米国人が雨の中、空港で出迎えた。2頭が国立動物園に来た最初の1か月で来場者は100万人を超え、そしてパンダ保護に関する国際研究も始まった。

 中国・四川省(Sichuan)にある中国ジャイアントパンダ保護研究センターの李徳生(Li Desheng)副主任は「パンダは中国と各国を結ぶ友情の使者であり、国際的な科学協力と文化交流を促進している」と強調。現在、18か国の22の動物園がパンダ保護に関する共同研究プロジェクトを実施している。

 米国で最も人気のあったパンダは、米首都ワシントンのスミソニアン国立動物園(Smithsonian National Zoo)で生まれた「泰山(Taishan)」だ。その名前は米国で22万人の応募から選ばれた。2007年4月24日、米国政府の要請を受けて泰山の米国滞在期間延長が決まると、ワシントン市は4月24日を「パンダの日」に制定した。

 泰山は2010年に中国ジャイアントパンダ保護研究センターに移ることになり、多くの米国人が別れを惜しんだ。その後は毎年、泰山の誕生日になると米国のファンが四川省を訪れるようになった。

 パンダの繁殖率を向上させるため、中国の研究者は人工授精技術などを学ぼうと何度も米国を訪れた。繁殖や妊娠中のケア、子育てに関する研究が進み、海外に生息するパンダは増加した。2021年はマレーシア、日本、フランス、シンガポール、スペインで8頭のパンダが誕生。海外で生息するパンダは69頭に達した。

 中国国内でもパンダの生育環境の整備が進んでおり、飼育下のパンダは673頭を数える。また、国内の67か所にパンダ自然保護区を設置。野生パンダの生息地の53.8%をカバーしている。

 国際自然保護連合(IUCN)は、パンダを「絶滅危惧種」から緊急度が1段階低い「危急種」に分類を変更。中国と各国の協力がもたらした成果と言える。(c)CNS/JCM/AFPBB News