【4月15日 AFP】ウクライナの登山家アントニーナ・サモイロワ(Antonina Samoilova)さん(33)は13日、ウクライナ国旗を持って世界最高峰エベレスト(Mount Everest)に登頂すると明らかにした。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を呼び掛けるとともに、ウクライナ兵の士気を高めるのが目的だ。

 サモイロワさんは、今シーズンにエベレスト登頂に挑戦する唯一のウクライナ人。ロシアの侵攻で窮状にあるウクライナの人々に注目を集めるため、これが自分ができる唯一の方法だと話す。

「ウクライナの全国民、全兵士、全ボランティア、そしてこの残酷な戦争の影響を受けた全ての人を支援するため、私たちが勝つまでの力を与えるためにエベレストに登る」と、AFPにネパールの首都カトマンズで語った。

「この苦難の年に私たちの国旗が世界の頂点ではためいたら、ウクライナの人々にとって大きな支援となると思う」

 サモイロワさんは七大陸最高峰「セブンサミット(Seven Summits)」の登頂を目指している。これまでにアフリカのキリマンジャロ(Kilimanjaro)と欧州のエルブルース(Elbrus)、南極のビンソン(Vinson)の登頂に成功した。

 サモイロワさんがロシアの侵攻を知ったのは、メキシコ最高峰のオリサバ山(Pico de Orizaba)の頂上にいた時だった。

 ウクライナの状況についての続報は、首都キーウの防空壕(ごう)に避難した妹から届いた。

 現在戦っている父と兄弟を「とても誇りに思う」と言う。

 ウクライナ女性として初めてエベレスト登頂に成功したイリナ・ガライ(Irina Galay)さんは、今年はロシアの登山家をエベレストから排除するよう求めている。

 ウクライナ政府はこの問題を取り上げたが、ネパール政府は特に措置は講じていない。今シーズンに登山許可書が発給された607人のうち、ロシア人は17人に上る。

 サモイロワさんは間もなく少なくとも225人の登山家と共に、エベレストのベースキャンプに入る。しかし、思いは常に祖国にある。

「ウクライナに戻り、家族全員を抱き締めることを夢見ている。実現を願っている」 (c)AFP