【2月26日 AFP】イランは核開発計画に対する国際制裁で深刻な経済危機に陥っているが、文学好きの人々は新刊小説につかの間の安らぎを見いだしてきた。

 しかし今や、良書に没頭することさえ難しくなっている。紙の価格が急騰し、資金力のない出版社にとっては本を刊行するのも容易ではないからだ。

 出版社「オフォ(Ofoq)」の経営者レザ・ハシェミネジャッド(Reza Hasheminejad)氏によると、例えば昨年は1.6ドル(約180円)だった200ページの小説1冊分の価格は現在2.5倍する。「ほとんどが生産コストです」

 イランは製紙用パルプの国内生産がなく輸入に頼っている。パルプの輸入は制裁対象ではないが、支払いは外貨で行う必要がある。つまり、書籍の価格はイラン・リアルの変動に直接左右される。

 そのため出版社は刊行する書籍の数を減らすだけではなく、フォントサイズを縮小して印刷するページ数まで減らしている。

 出版社「フーパ(Houpa)」の文庫編集部長エミリー・アムライ(Emily Amrai)氏は「出版業界は大きな危機に見舞われています。存亡が懸かっていると言ってもいいかもしれません」と語る。

 イラン政府は核兵器開発の意図をずっと否定してきたが、米国は2018年、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権下で、イランの核兵器保有を阻止するための多国間合意から一方的に離脱。続けて、厳しい対イラン経済制裁を再開した。「米国の制裁が2018年に再開されるや否や、紙の値段が上がりました」とアムライ氏は言う。