【2月12日 AFP】カナダでトラック運転手を中心とした人々によるデモが続いている問題で、首都オタワが位置するオンタリオ(Ontario)州は11日、非常事態を宣言した。デモはオタワをまひさせ、米国との貿易を阻害。同州のダグ・フォード(Doug Ford)首相は、デモ隊による道路封鎖を解消するためにあらゆる手段を講じると宣言した。

 カナダでは、新型ウイルスワクチン未接種のトラック運転手に対し、米国との国境を越える際の検査と隔離が義務付けられている。これに反発した運転手たちは先月、規制の完全撤廃を求め、西部で「自由の車隊(Freedom Convoy)」と銘打った抗議活動を開始。オタワで2週間にわたり数百台の大型トラックを使い道路をふさいでいるほか、国内3か所の国境検問所を封鎖している。

 フォード氏は記者会見で、「国境を再開するために必要なあらゆる手段を講じる」と宣言。デモ参加者が「不法占拠」をやめない限り、最高で10万カナダ・ドル(約900万円)の罰金と禁錮刑を科すと警告した。

 デモ隊は、オンタリオ州ウィンザー(Windsor)と米デトロイト(Detroit)を結ぶアンバサダー・ブリッジ(Ambassador Bridge)などを封鎖。この橋は毎日4万人以上の通勤者や観光客が往来し、両国間の貿易額全体の約4分の1に当たる1日平均3億2300万米ドル(約370億円)相当の商品の運送に使用されている。

 国境封鎖の長期化により、複数の自動車メーカーが減産を余儀なくされるなど、多大な影響が及んでおり、新型ウイルス流行で打撃を受けたカナダ経済の復興に遅れが出ることも懸念されている。米政府はカナダに対し、連邦政府の権限で封鎖を終わらせるよう要請。同国のジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相に事態の収拾を求める圧力が強まっている。(c)AFP/Michel COMTE