■「寂しい生活」

 ゴーン被告同様、ケリー被告も不正行為を明確に否定している。

「私は日本で罪に問われるようなことは何もしていない」

「私から見れば、これは日産内部で解決できることだ。全く合意もなければ支払いもされていない事案の報告に関する誤りであるならば…」

 取材に対しケリー被告は、初公判の日程についてはまだ分からないと述べた。6日には、同被告の公判前整理手続きが行われている。

 ケリー被告は、一日の大半を検察から提供される大量の電子文書に目を通すことに費やしている。夫妻は米国にいる子どもや孫、そして日産の友人らにも会いたいと話しているが、日産関係者との接触については、裁判が結審するまで禁止されている。こうした状況について、「寂しい生活だ」とケリー被告はこぼす。

「ここを家とは呼ばない。アパートだ。『家に帰る』と言うことはなく、『アパートに戻る』と言う」とドナさんも口をそろえる。

 ドナさんは現在、夫との滞在を可能にする学生ビザを維持するために日本語を学んでいる。しかし、「学校は休めないし、一定の成績を取らなければならない」と、自らに求められている条件について話した。

 こうした苦しい状況にもかかわらず、ケリー被告は日産に対しては恨みを抱いていないという。同被告にとって日産は、約30年にわたって「週7日」働いた会社なのだ。

「私は日産の発展を望んでいる」 (c)AFP/Etienne BALMER