【3月5日 AFP】内戦下のシリアで爆撃音が聞こえたら笑うという「ゲーム」に父親と興じる動画がインターネットで共有され、多くの人々の心を打った少女サルワ(Salwa)ちゃん(3)が、家族と共に隣国トルコに脱出し、新生活を開始したことが分かった。

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 父親のアブドラ・ムハンマド(Abdullah al-Mohammed)さん(32)が4日明らかにしたところによると、一家はトルコ政府に招かれて先週、国境を越えたという。

 サルワちゃんは先月、シリア北西部イドリブ(Idlib)県で爆発音が響くたびに父親と笑う姿をとらえた映像がソーシャルメディアで広く共有され、注目を浴びた。サルワちゃんを安心させるため、爆撃の音をゲームに変えることをアブドラさんが考案したのだった。

 動画の中ではアブドラさんが、大きくなる風切り音に「飛行機かな、爆弾かな」と問い掛ける。サルワちゃんは「爆弾。爆発したら笑おうね」と答え、爆発音がとどろくと笑いだす。この動画は数百万回共有された。

 シリアと国境を接するトルコ・ハタイ(Hatay)県からAFPの電話取材に応じたアブドラさんは、サルワちゃんが「不安をかき立てる音」から逃れ、トルコで静かな生活を送れるようになったことを喜んでいると語った。「サルワはここ(トルコ)で幼稚園に入園し、それから小学校に進学する。その未来は、戦争中の場所にとどまるよりも確実に良いものになるだろう」

 同地で仕事探しを始めたというアブドラさんはまた、9年間続く内戦の恐怖を隠すためのゲームを考える必要がなくなったのがうれしいとコメント。「少なくとも今は、あの子にうそをつかなくていい」と話した。(c)AFP