【1月14日 AFP】サウジアラビアで12日に行われたダカールラリー(Dakar Rally 2020)第7ステージにおいて、ポルトガル人ライダーのパウロ・ゴンサルベス(Paulo Goncalves)選手(40)が事故死したことを受けて、昨年の二輪王者であるトビー・プライス(Toby Price、オーストラリア)は13日、複雑な胸中を明かした。

 ゴンサルベス選手がハイスピードで事故に遭遇した際、KTMのバイクに乗って最初に現場を通りかかった32歳のプライスは、その時の恐ろしい光景を振り返った。この日はライダーたちが「友人を悼むため」に、二輪部門とクワッド部門のレースが中止となった。

 昨年は手首を骨折しながらも総合優勝を果たしたプライスは、「残念なことだが、選手たちは皆、このスポーツの危険性を承知している。そういうことが起きるのはつらい。不運にもわれわれはその場面に遭遇してしまった」と語った。

 KTMのチームメートであるステファン・ソヴィツコ(Stefan Svitko、スロバキア)と、2006年大会で四輪部門を制したリュック・アルファン(Luc Alphand、フランス)も事故現場に到着した後、プライスらは2015年大会で総合2位に入ったゴンサルベスを必死で蘇生させようとしたという。

 プライスは今回の悲劇は誰の責任でもないと強調し、「悲しいが、それが自分の身に降り掛かってしまったら、どうしようもないんだ。残念ながらきのうはパウロの日だった」とすると、「できる限り手を尽くし、バイタルサイン(生命兆候)も確認したが、残念ながら反応はなかった」と明かした。

 2016年も総合優勝を果たしているプライスは、医療ヘリコプターが到着するのを待っていた時間について、「人生で最も長い8分間だったのは間違いない」と告白。精神的なトラウマになるような体験にもかかわらず、ゴンサルベスに付き添えたことは良かったという。

「ある意味で慰めになっている。2017年のダカールで自分が脚を骨折したとき、彼が立ち止まってくれたことを覚えている…。あれは正しい行動だった」「せめて彼に付き添い、できる限り慰めようと努力したと思える」「自分の思いと祈りは彼のご家族と友人、そしてポルトガルの皆さんとともにある。彼らが優秀な戦士を失ったことは間違いない」 (c)AFP