【8月9日 AFP】全米214都市の市長らが8日、米上院議員らに夏季休暇を切り上げて直ちに銃規制法案を可決するよう連名で訴えた。先週末に銃乱射事件に見舞われたテキサス州エルパソ(El Paso)のディー・マーゴ(Dee Margo)市長とオハイオ州デートン(Dayton)のナン・ウェイリー(Nan Whaley)市長も名を連ねている。

 相次ぐ乱射事件で合わせて31人が死亡したことを受け、「全米市長会議(US Conference of Mayors)」加盟都市のうち214都市の市長は、共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務と民主党のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院院内総務に書簡を送付。銃を購入する際の身元調査を義務付け、転売を規制する法案の可決を強く求めた。

「今年に入って既に250件を超える銃撃事件が起きた」と書簡は指摘。民主党が過半数を占める下院で今年2月に可決された銃規制強化法案2件について、マコネル氏が上院での審議を認めず廃案に追い込もうとしているとして、同氏に圧力をかけた。共和党内には、銃規制法案が可決されれば来年の連邦議会選で票を失いかねないとの懸念が広がっている。

「週末のエルパソとデートンの悲劇的な事件では、わが国にはもはや、火器を所持すべきでない人物に銃を購入させないために必要な措置を連邦政府が講じるのを待つ余裕などないのだということを、改めて実感させられた」と書簡は述べている。

 全米市長会議の議長を務めるミシガン州ロチェスターヒルズ(Rochester Hills)のブライアン・バーネット(Bryan Barnett)市長は、加盟各都市は「最前線に立っている」と主張。「われわれの都市の安全を守るのは、党派で対立する問題ではない」と訴えた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は7日、上院に提出された精神疾患のある人物への銃器の販売を規制する法案への支持を表明したが、下院で可決されたような強化版の規制案や、乱射事件で使用されがちな殺傷能力の高いアサルトライフルの禁止案については政治的な支持がないとの見方を示した。(c)AFP