■ビザ発給の遅れや拒否

 米当局によるビザ発給拒否が増加していることから、中国教育省は、中国人学生・学者の学習・研究計画がそうした拒否や遅れなどで挫折する恐れがあると警告している。

 同教育省によると、今年1月から3月の間に学術・研究目的で米国へのビザ申請を行った中国人の8人に1人が、ビザの確保に支障を来しており、昨年より著しく増加している。

 量子物理学の花形研究者である潘建偉(パン・ジエンウェイ、Pan Jianwei)氏は、今年2月に開催された米国科学振興協会(AAAS)の総会で誉れ高いニューカム・クリーブランド賞(Newcomb Cleveland Prize)を受賞する予定だったが、ビザ発給の遅れで出席できなかった。同氏はAFPに「4か月待った後、ビザを受け取ったのは3月だった」と語った。ようやくビザが届いたときには、授賞式はとっくに終わっていた。

 米国務省のある当局者は、プライバシー保護法に抵触するので個別のビザの事例について話すことはできないと答えた。同省ではビザ審査の強化について、米国滞在中に外国情報機関に取り込まれる留学生が増えている事態への対応だとしている。

 また米情報当局のある関係者は昨年12月、中国の「千人計画」によって、米国の技術と知的財産の窃盗が容易になったと発言した。両国関係の冷え込みによって、中国政府による自国および外国のトップ人材を獲得する取り組みは困難になりつつある。(c)AFP/Poornima WEERASEKARA