■粛清説が流れた高官らは……

 開幕公演にはまた、米朝非核化協議でマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官の交渉相手である金英哲(キム・ヨンチョル、Kim Yong Chol)朝鮮労働党副委員長を含む政府高官らも姿を見せた。

 金英哲氏については、2月にベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった後、強制労働施設に送られたと韓国の朝鮮日報(Chosun Ilbo)が報じていたが、これは誤報だった。

 一方、マスゲーム開幕公演に関するKCNAの報道で触れられていなかったのが、金革哲(キム・ヒョクチョル、Kim Hyok Chol)国務委員会対米特別代表だ。同氏について朝鮮日報は、米朝会談の事前交渉で「米国側に取り込まれ」「最高指導者を裏切った」として銃殺されたと報じている。

■重要な観光収入源

「アリラン祭(Arirang Festival)」として知られた北朝鮮のマスゲームは2007年に、世界最大のマスゲームとしてギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された。認定対象になった公演の参加人数は10万90人と記録されている。

 マスゲームは昨年、5年ぶりに復活した。その間、北朝鮮は4回の核実験に加え、長距離弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、地域の緊張を高めた。

 演者の大半は学生や児童だとはいえ、マスゲームに投入されるリソースは膨大だ。それでも、核開発計画や弾道ミサイル計画をめぐり複数の制裁を受け困窮している北朝鮮にとって、マスゲームは重要な観光収入源だ。

 中国・北京を拠点とする北朝鮮専門旅行会社、高麗ツアーズ(Koryo Tours)によると、今年のマスゲームの外国人向け観覧料は、100~800ユーロ(約1万2000~約9万7000円)だという。(c)AFP