■飛躍的進展の可能性

 今回の研究で、行方不明のプラスチックの研究に飛躍的な進展がもたらされる可能性があるという。モントフォード氏は研究で、三つの異なる密度のプラスチックについて、一旦沈み始めたらどこに多く集まるのかということを、海流のコンピューターモデルを用いて推定した。

 その結果、地中海、インド洋、東南アジア周辺の海域で、水深数千メートルに及ぶさまざまな深さで顕著に蓄積されることが分かった。

 プラスチックの大半は最終的に海底に行き着く。今年発表された別の研究では、地球の最深部であるマリアナ海溝(Mariana Trench)底部に生息する小型のエビの消化管内から、マイクロプラスチック繊維が発見されたことが明らかになっていた。

 今回の研究はまだ予備的な段階にあるとモントフォード氏は強調する。だが、調査を集中させる海域を特定し、プラスチックの海洋生物への影響に関する研究を前進させる一助となることが期待されるという。

 モントフォード氏の研究は、オランダ・ユトレヒト大学(Utrecht University)のエリック・バン・セビル(Erik van Sebille)准教授(海洋学・気候変動学)が取り組んでいる研究プロジェクトを参考にしている。

 バン・セビル氏の現在の研究は、プラスチック汚染物質が今や大量に存在しているという事実に基づいている。このプラスチック片を観察することで、海洋がどのように循環しているかという有益な情報が得られる。

 プラスチックごみに関する一連の研究は9日、オーストリア・ウィーンで開かれた欧州地球科学連合(EGU)総会で発表された。(c)AFP/Patrick GALEY