■「単なる虚勢」

 シャリフ氏は、自分以外にもイドリブには国家安全保障を理由に市民権を無効にされた元英国籍保持者がたくさんいると話した。MEEもこの件について最初は2017年に報じている。

 シャリフ氏は英政府が二重国籍者だとみなされる人物に対し、権力を行使して市民権を剥奪し、「人種差別主義」的な階層をつくっていると主張する。また、このことを強調するために、審理中に匿名を貫く権利を放棄する決意をしたと話す。

 一方で市民権剥奪に関する申し立てを扱う英国の司法機関、特別移民上訴委員会(SIAC)での審理の際に、武器を持った自分の写真や、自己防衛や護身のための銃の使用が誤解を与えるかもしれないと、シャリフ氏は懸念している。

 シャリフ氏がシリアに到着したころは、支援物資を届けたり、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に立ち向かう反体制派への支持を示したりするために、シリアへ流入する外国人が多くいた。シャリフ氏は時折、武器を持ったり反体制派の戦闘員らと一緒にポーズを取ったりして写真を撮ってもらったという。

「(自動小銃の)AK47を持ったり戦車に乗ったりしてポーズを取ることもあった。それ以上のことはなかった」とシャリフ氏は説明した。「もしあの頃に戻れるなら、あんなことは一切やらない。しかし残念ながら、当時は普通のことだった。若い男は戦車や機関銃が好きなものだ。単に虚勢を張っただけだ」

「2013年当時(のシリア)はとてもオープンだったことを理解してほしい。車列で行くと、自由シリア軍(FSA)のグループなんかが護衛をしてくれた。彼らと一緒に立ってポーズを取るのも普通だった。とてもリラックスした雰囲気だったんだ」

 シャリフ氏はまたシリア内戦初期には金銭的に護衛を雇えず、前線地域に支援物資を届ける際にAK47で武装していたことを自己弁護した。

「ありがたいことに、今は護衛チームが付いている。しかし初期の頃は、私たちはとても小さな団体だった上、今よりもよく前線地域へ行っていた」「自分の身は自分で守れないといけない。私たちは常に、自分と周りの人たちを守るために必要最小限のことをしていた」

 内戦によって道路沿いの市場でも銃が売られるようになり、武器の携帯は普通のこととなっていたという。

By Simon Hooper

(c)Middle East Eye 2019/AFPBB News