【3月26日 MEE】シリアを拠点とする援助活動家で、2017年に英政府から国籍を剥奪されたタキール・シャリフ(Tauqir Sharif)氏が4日、イスラム過激派組織イスラム国(IS)に脅迫されていたことをミドルイースト・アイ(MEE)に明らかにした。ISは武器を持ってポーズを取っているシャリフ氏の写真を持っていると主張して、同氏を脅したという。

 シャリフ氏によると、ISのメンバーと思われる人物が接触してきたのは、2015年。その人物はシャリフ氏に対し、6万5000ドル(約700万円)を払うよう要求し、さもないと写真を英当局か英国のオンライン・メディアに渡すと脅したという。

 シャリフ氏は近く行われる審理で英政府に対し市民権の回復を求める予定だが、英政府がこうした写真の一部を市民権剥奪の根拠としてひそかに使うのではないかと懸念している。

 2013年からシリア・イドリブ(Idlib)県にあるアトマ(Atmeh)国内避難民キャンプを拠点にしているシャリフ氏は、シリア内戦勃発から間もないころ、反体制派の戦闘員らや武器と一緒に写真に収まった。当時は、反体制派の掌握地域を訪れる外国人(大半は救援活動の参加者)の多くが同じことをしていたという。

 今、シャリフ氏はこのことを後悔しており、写真は「虚勢」だったと言い切っている。さらにシリアに来てからは護身用に武器を携行していたが、現在は護衛を雇っていると説明した。

 ISの脅迫は2015年後半に始まり、数週間おきに脅迫される状態が1年ほど続いたという。その間、要求額は次第に減額され、約1万3000ドル(約140万円)まで下がった。脅迫電話の声は常に同じ人物で、欧州系のアクセントで英語を話す男だったという。

 シャリフ氏は自分が狙われた理由について、メディアへの露出度が高かったことと、公の場でISを批判していたためだと思うと語った。2012年にシリアに渡って以来、同氏の活動は、英国放送協会(BBC)やITV、チャンネル4(Channel 4)、米CNNなど多くの欧米メディアに取り上げられている。また、シャリフ氏がオンラインで展開する活動組織「Live Updates From Syria」には多くのフォロワーがいる。