■精神疾患の新規患者の30%近くが大麻を常用

 研究チームは調査対象の都市・地域で、2010年~2015年に精神疾患を初めて発症した人を特定し、比較調査のための基準を定めた。この901人を、健康な成人の対照群1237人と比較し、精神疾患の危険因子を探った。

 参加者全員に、大麻などの薬物の使用年数と頻度を提供してもらい、使用された大麻の作用の強さを「高(THC含有濃度が10%以上)」または「低(THC含有濃度が10%未満)」に分けた。場所によっては、THC濃度が20%以上に上っていたという。

 この結果、精神疾患を初めて発症した患者の30%近くが大麻を常用していたが、対照群では7%に達しなかった。作用が強い大麻の場合、それぞれ37%、19%だった。

 社会的要因とその他の薬物使用という要因で調整すると、大麻を常用している人は使用経験がない人に比べて精神疾患を初めて発症する確率が3倍高いことも明らかになった。また、作用が強い大麻を常用している場合、この確率は5倍に上昇する。

 大麻の使用と精神疾患との間には強い相関関係が認められるものの、因果関係については推測にすぎない可能性があると、論文の執筆者らは注意を促している。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)神経精神薬理学センターのデビッド・ヌット(David Nutt)所長は、THCは健康な人、すなわち精神疾患の素因のない人に精神疾患を引き起こすことがよく知られており、このことを認識することが重要になると指摘した。(c)AFP/Marlowe HOOD