【3月21日 AFP】作用が強い大麻は、特に日常的に使用した場合、統合失調症や妄想性障害(パラノイア)などの精神疾患発症リスクと「強く関連」するとの研究結果が20日、発表された。

 オランダのアムステルダムと英ロンドンで、新たに精神疾患を患った人を調べたところ、そのうちのそれぞれ50%、30%に作用が強い大麻との関連性がみられた。

 大麻と精神疾患との関連性を指摘する研究が増えており、英医学誌ランセット(The Lancet)に発表された今回の結果はこのような関連性をさらに裏付けるものとなった。

 大麻の解禁が徐々に進む中、北米と欧州の消費量は過去20年間で急増している。また、大麻の精神活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)の含有濃度も4、5倍に上昇している。

 論文の主執筆者で、英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)精神医学・心理学・神経科学研究所のマルタ・ディ・フォルティ(Marta Di Forti)教授は「高濃度のTHCを含む大麻の使用は、作用が弱いものを使用した場合に比べ、精神面での健康に及ぼす影響が大きい」と指摘する。「大麻の使用が精神疾患罹患(りかん)率にどのように影響するかを集団レベルで調べたのは今回が初めてだ」と言う。

 研究は欧州11都市・地域とブラジルの1都市を対象に実施されたが、精神疾患の新規患者の5人に1人が大麻を日常的に使用し、10人に1人が作用の強い大麻を使用していたことが明らかになった。

「トレインレック」「ゴリラグルー」「ヒンズークシ」などのTHC濃度が高い大麻を今後入手できないようにすれば、「欧州全体で、新たな精神疾患患者を12%抑えられる可能性がある」と研究チームは推定している。