【3月21日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は20日、男子プロテニス協会(ATP)のクリス・カーモード(Chris Kermode)会長が退任することに関して、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)とラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が自分と異なる意見を持っていることを尊重すると強調し、ささやかれている両選手との不協和音について否定した。

 フェデラーとナダルは、ATP選手協議会(ATP Player Council)の会長を務めるジョコビッチに対し、カーモード会長の退任決議に際して自分たちに相談しなかったことに不満を示していた。

 2014年にATPのトップに就任したカーモード会長は、今月はじめに米インディアンウェルズ(Indian Wells)で行われた役員会の投票で、今シーズン限りで退任することが決定。選手の間ではカーモード会長の留任を強く求める声も多かったが、ジョコビッチは会長の交代を声高に推し進めていた。

 フェデラーは同日、弁明を「求める」つもりはないとしながらも、ジョコビッチがこの問題に関する話し合いを退けた理由が「理解できない」と訴えていた。こうした状況に対して、ジョコビッチはスイスとスペインを代表するレジェンドたちの意見を歓迎する姿勢を保っている。

 今週開幕したマイアミ・オープン(Miami Open 2019)で、22日から初戦に臨むことになっているジョコビッチは、「誰もが自由に政治的議論に参加できるように、彼らの意見を歓迎する」「選手協議会メンバーは組織の一部にすぎない。役員会に加わったり、何かを決めることはしない。僕らは選手理事会代表との話し合いと連携を図っている」と話した。

「フェデラーとナダルは、長い間にわたってテニス界を象徴する存在であり、彼らの意見は全員にとって極めて重要だ。彼らが行動や関与を求めているのであれば、それが正式な立場であろうとなかろうと、われわれにとってはプラスになるだけだと考える」

「きょう、ロジャーと会った。センターコートのテープカットに出席したんだ。少し雑談したけれど、政治的な話題に関して話す時間はなかった。数日のうちに、何か話し合う時間が取れることを願っている」

 一方、ナダルはATPのトップに関する人事はかなり大きな問題であり、全員に相談があってしかるべきであると主張して、テニス界のスター選手3人の間に大きな確執が生じている可能性を示した。

 ジョコビッチは、「これまで彼らからも、こちらからも何の意思表示もしていない」とすると、「僕たちの間に何らかの対立や分断があると、周囲が想像する必要はない。まったく逆で、彼らとは良い関係を築いているし、常に互いをリスペクトしている。もちろんライバル同士だから、友達になることは難しい」と語った。

「僕らは遠慮なく話し合える必要があり、人の意見はそれぞれ違う。それが民主主義社会というものだ。皆がそうあることを目指し、その一部となっている」

 ジョコビッチはまた、大勢の選手が現行システムに不満を持っていると主張しており、「これまで何度も裏切られてきて、個人的にもそうだが組織の一員である他の選手たちは不満に感じている」「トップ選手たちは物事への関与や意見を訴えても、全ての主張が正しく理解されていないと感じることが何度もあった」と話した。(c)AFP/Steve Brenner