■目標は「全大会への導入」

 フォックステンのシステムは、現時点で男女の約30大会、つまりプロレベルのおよそ2割の大会で採用されているという。シモン氏は「全大会への導入」、特に最高レベルにあたるATPのマスターズ1000(ATP Masters 1000)や四大大会(グランドスラム)での導入を目指している。

 マスターズ1000の9大会では、ライン判定技術の契約があと数か月で満了となる。そのためフォックステン社は積極的なロビー活動を行い、自社のテクノロジーの価値をアピールする機会を探っている。

 すでにフォックステンを導入している大会の一つ、オープン13(Open 13 Provence)のジャン・フランソワ・コージョル(Jean-Francois Caujolle)大会ディレクターによれば、導入当初はトラブルもあったが、採用から2年を経て問題は解決したという。

「最初に聞いたときから、ホークアイに挑戦するという考え方が気に入りました。ちょっとした独占状態でしたからね」「フォックステンはより設置が手軽な上に少し安めに思えますし、リアルタイムの画像が手に入るのは利点です」「最初は判定に時間がかかりましたが、改善されて非常に良くなっています。もしかしたら、彼らの存在がホークアイにシステムの刷新を促すかもしれません」

 もっとも、選手たちは別のことに集中しており、舞台裏のテクノロジー企業の争いに直接関心が向くことはほとんどない。

 男子のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、自分がフォックステンのシステムの目にさらされてきたかどうかも分からないと明かし、「どうだろう。私としては、それが何なのかも知らない」「私が出場した大会はみんな知っていると思うが、そこでは使われていなかった気がする。ずっとホークアイじゃなかったかな?」と語っている。

 一方でガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)は、ホークアイに慣れ親しんではいるものの、「実際にボールが落ちた場所を確認できる」点はフォックステンの武器になるかもしれないと話している。(c)AFP/Cyril TOUAUX