【3月16日 AFP】米ニューヨーク市は14日、米国の経済・文化の中心地マンハッタン(Manhattan)の一部地域を気候変動による洪水から保護するため、5億ドル(約560億円)を投資すると発表した。

 投資対象は、洪水リスクの高いマンハッタン南端地域の保護を目的とした4事業。うち一つは、ウォール街(Wall Street)の数ブロック先にあるバッテリーパークシティー(Battery Park City)の南に恒久的な防護壁を建設するもの。

 民主党のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長が14日に発表したところによると、マンハッタン南部の保護に必要な金額は推定100億ドル(約1兆2000億円)で、今回の投資はそのほんの一部にすぎない。予算の大部分はまだ確保できておらず、連邦政府の支援が必要になる可能性が高い。

 米政府は気候変動に関する報告書「全米気候評価(National Climate Assessment)」で、炭素排出による気候変動がこのまま進めば膨大な経済損失が生じると警鐘を鳴らしているが、共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はこの報告書の内容を否定している。

 マンハッタン南部は、2012年10月の大型ハリケーン「サンディ(Sandy)」で特に深刻な被害を受けた。サンディはニューヨーク市で約40人の死者を出したほか、ニューヨーク、ニュージャージー両州の沿岸部が高さ3メートルの洪水に見舞われ、ニューヨーク州の被害総額は420億ドル(約4兆7000億円)に上った。

 ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)が14日に発表した調査結果によると、マンハッタン南端にある建物の37%が、2050年までに洪水に見舞われる恐れがある。(c)AFP