【3月2日 AFP】パキスタンのマリク・アミン・アスラム(Malik Amin Aslam)気候変動相は1日、先月26日にインド軍がパキスタン領内を空爆して多数の木々が被害を受けたのは「環境テロ」だとして、インドを相手取り、国際機関に訴えを起こす考えを示唆した。

 アスラム氏はAFPに対し、「(パキスタンで)起きたことはまさに環境テロだ」と述べ、環境アセスメントを実施中であることを明らかにした。さらに、「われわれは、問題提起と訴訟を起こすために、国連(UN)をはじめ、適切な国際機関を探っていく」と述べた上で、この申し立ては「ジョークではない」と続けた。

 アスラム氏の発言は、先月26日にインド政府がパキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州バラコット(Balakot)付近を空爆し、「多数の」過激派戦闘員を殺害したとする発表を受けてのもの。インド政府は長年、パキスタン政府が過激派組織を支援していると非難しており、そのうちの一つとインド政府が見なしている「ジェイシモハメド(Jaish-e-Mohammed)」が先月14日にカシミール(Kashmir)地方のインドの実効支配地域で自爆攻撃を行って犯行声明を出したことから、核武装している両国間の新たな火種となっていた。

 パキスタン政府は、インドがパキスタン領内で空爆を実施して多数の過激派戦闘員を殺害したと発表したことについて、「利己的で無謀かつ虚偽」の主張だと否定していた。

 空爆を受けた地域の住民らは、夜間に爆発音を聞いたと報告しているものの、負傷者は1人だけで、インフラ設備への被害は一切出ていないと述べている。地元住民や軍が空爆を受けたと主張する場所をAFP記者が訪れたところ、地面にはくぼみができ、2本の木が真っ二つに折れ、土壁でできた家屋3軒のうち1軒の壁が崩れていた。

 しかしアスラム氏は、唯一被害があったのは2014年に始動した森林再生プロジェクト「ビリオン・ツリー・ツナミ(Billion Tree Tsunami)」だと主張。成木から植樹されたばかりの木まで、「多数の」木々が損傷したと述べた。(c)AFP