■ソ連時代のトラウマを蒸し返す

 アフガニスタン侵攻はソ連国民に著しく不評で、ゴルバチョフ氏が率いた「グラスノスチ(情報公開)」が最高潮に達していた1989年には、当局が正式に非難するに至った。だが、退役軍人の圧力により、アフガニスタン侵攻が今、再評価されている。

 プーチン大統領は2015年、ソ連の指導者は「多くの過ちを犯したが、現実の脅威」に立ち向かおうとしたと発言し、侵攻を支持する姿勢を見せた。

 この1月にはロシア議会の防衛委員会が、アフガニスタン侵攻を支持する決議草案を支持した。草案では、ソ連軍はアフガニスタン政府による「テロリストと過激派」との戦いを支援し、ソ連自身が直面していた安全保障上の脅威の拡大を阻止したと主張している。

 だが、草案はいまだ本会議での審議に至っていない。これは、ロシアにとってトラウマとなっている出来事を正式に再検討することに、当局が二の足を踏んでいることを示している。

 人権団体メモリアル(Memorial)の歴史家イリナ・シャルバコワ(Irina Shcherbakova)氏は、近年欧米諸国との緊張が高まっている中で、「ロシアは欧米諸国との新たな対立を正当化するために、ソ連時代の出来事を蒸し返している」と説明した。

■死者に対する裏切り

 政府寄りのニュースサイト、フスグリャド(Vzglyad)の政治アナリスト、ピョートル・アコポフ(Pyotr Akopov)氏は「元兵士やロシア社会は、この戦争の汚名をそそぐことを求めている」と指摘する。

「われわれは謝罪するようなことは何もしていない。ナパーム弾は使っていないし…アフガニスタン撤退時にはわれわれに代わって後を継ぐ、われわれの支持者も残して行った。米国はそんなことをしたことは一度もない」

 旧ソ連諸国が構成する独立国家共同体(CIS)の退役軍人協会会長アレクサンドル・コバリョフ(Alexander Kovalyov)氏は、アフガニスタン侵攻は正しかったと主張し、ゴルバチョフ氏はアフガニスタン侵攻を非難したことで「すべての死者を裏切った」と訴える。

「ゴルバチョフ氏が戦争を終わらせた点は正しかったが、アフガニスタン政権が(イスラム勢力に)抵抗できるよう、必要な武力支援は続けるべきだった」 (c)AFP/ Marina LAPENKOVA