1月16日になって、金容疑者の家族が弁護士を伴ってやって来た。弁護士が、警察に協力しなければならないことや、この警察官が「本物」であることを伝えると、金容疑者はようやく悟った様子で「実は自分も20数万元(約325万円)を騙し取られていた」と語りだした。

 金容疑者は昨年12月26日、ある電話を受けた。家の固定電話が停止になってしまうと言われ、その後に起きたことは、趙さんの状況と同じだった。初めは10万元(約162万円)を振り込み、さらに25万8000元(約418万円)を要求された。親戚や友人などからようやく10万元を調達し、これしかないと言うと、相手の「警官」は、「警察の協力者『特別勤務』の身分として雇ってもよい。警察と一緒に犯罪者を追いかけ、債権の取り立てを行い、もし回収できたら借金残高と相殺することができる」と言ったという。真に受けた金容疑者は昨年12月末から、家族に隠れて「特別勤務」の道を歩み始めたのだ。

 この間、「警官」の指示を受け、金容疑者は煙台(Yantai)や成都(Chengdu)などに「出張」し取り立てを行ったが成功しなかった。「警官」は、出張経費として5000元(約8万円)を送金してきて、新しい携帯電話を購入させた。金容疑者は毎日、生真面目に出費を記録し、経費として精算できる日が来ると信じて疑わなかった。そのため、「本物」の海寧警察に逮捕されても、逆に信じられなかったのだという。

 現在、金容疑者は詐欺罪の容疑で勾留されており、事件は捜査が続いている。(c)CNS/JCM/AFPBB News