【1月30日 AFP】29日に行われた第17回アジアカップ(2019 AFC Asian Cup)準決勝のカタール対UAE戦は、UAEが次々と失点を重ねて0-4の屈辱的な大敗を喫する中で、スタジアムの大半を占めた開催国のUAEファンがやじを飛ばし、履物やペットボトルを投げ込んで怒りを爆発させた。

 満員のムハンマド・ビン・ザーイド・スタジアム(Mohammed Bin Zayed Stadium)で行われた一戦は、UAE側がチケットを無料配布したこともあって、客席はほぼUAEの応援一色となり、国交断絶により基本的にUAEへ入れないカタールのファンはごく少数にとどまった。そして両国の緊張を背景に、試合はカタールの国歌斉唱で耳をつんざくようなブーイングが鳴り響き、スタンドに大きな「決勝へ」の文字が躍る中で始まった。

 ところがピッチ上でレベルの違いを見せたのはカタールの方だった。まずは22分にブーアッラーム・フーヒー(Boualem Khoukhi)がゴールを狙うと、そこまで難しいようには見えなかったシュートにUAEのGKハリド・エイサ(Khalid Eisa)が反応しきれず先制。さらにアルモエズ・アリ(Almoez Ali)が歴代最多記録に並ぶ大会8ゴール目を決めてリードを広げた。

 するとこのゴールにUAEのファンが怒り、喜ぶアリに履物を投げつけた。ペットボトルは試合を通じてピッチに投げ込まれ、一つがカタールのGKサアド・アッシーブ(Saad Al-Sheeb)の守るゴールに当たった。またサレム・アル・ハジリ(Salem Al-Hajri)には投げ込まれた物が直撃した。

 ファンの一人は「チームは何も見せず、スピードについていけなかった。布陣もだめで、チームにも、どの選手にも魂が感じられなかった」「戦術は間違っていたし、監督には打つ手がなく、交代策もすべて外れた。あれを見せられたら、ベスト4には値しなかったと思う」と話し、重い足取りでスタジアムを後にした。

 また別のファンは、「チームには本当に腹が立つ。頑張ってはいたが、チームが成功するのはまだ先のことになるだろう」「負けたのが問題なんじゃない。重要なのはミスから学ぶ姿勢だ。きょうのチームには組織的な攻撃がなかった!」と話した。

 UAEは代表選手の高齢化が進んでおり、アルベルト・ザッケローニ(Alberto Zaccheroni)監督も退任が見込まれているため、カタールで開催される2022年W杯(2022 World Cup)のアジア予選開始を前に、チームは大きく様変わりすることが予想される。しかしまずは、来月1日に行われる日本との決勝でカタールが勝利し、国内でカタールがトロフィーを掲げるという、究極の屈辱を味わうことだけは避けたいというのがUAE側の思いのはずだ。(c)AFP