【1月5日 CNS】「64項目の健康診断がわずか128元(約2050円)で!」「定価263元(約4220円)の健康診断が今だけ128元(約2050円)ぽっきりで」。この時期、スマホのアプリに健康診断の広告が頻繁に現れる。その中には、「美年大健康(Meinian Onehealth Healthcare)」や「愛康国賓(iKang Healthcare)」といった有名な健康診断機構の広告も含まれる。

■評判がよくない健康診断

 試しに、アプリの検索画面で「健康診断機構」と入力すると、1031本の検索結果が現れた。健康診断のメニューは種類が豊富で、価格差も大きい。最も廉価な新入社員向けの団体扱いの健康診断費用は59元(約945円)の安さだ。

 ランキング上位の「美年大健康」を例にとると、提供される団体扱いの健康診断メニューは198種に上り、価格は100元(約1600円)から900元(約1万4000円)と範囲が広い。中でも、64の検査項目を含む健康診断セットはわずか118元(約1800円)で、販売数は2万4000件だった。

 販売は好調のようだが、これらの健康診断を受けたことのある消費者に聞くと、実態はとても満足できるものではないという。

 美年大健康の健康診断を受けたことのある王さんは「肝機能と腎機能の検査のはずが、肝機能の検査が抜けていた」と言う。胆結石があったのに、超音波検査で「問題ない」と言われたという別の受診者もいる。また、別の消費者は「盲腸炎の手術後に検査を受けた結果、食道がんの手術をしましたねと言われ言葉を無くした」という。

 こうした例は、決してまれではない。インターネットの評価欄を見ると、「悪い」の評価を付けないユーザーはいない。消費者が提起したこれらの問題について、記者は美年大健康のカスタマーサービスに電話したが、終始、つながらない状態だった。「愛康国賓」のカスタマーサービス担当者は「我々は健康診断機構であって、基本的な検査をやっているだけだ」と言い、検査の誤りへの対応については、「我々の職責範囲内ではない」との見解を示した。

■暴露された健康診断業界の混乱

 広州(Guangzhou)の美年大健康に勤務していたという関係者が数か月前、さまざまな問題を暴露した。末期がんが分からなかったとか、離職した医師の名前をかたって無資格の従業員が検査をしたなどの問題だ。その後、美年大健康はおわびを発表し、広州天河区衛生局からの改善命令を受けた。

 また、一方の有名機構である愛康国賓の張黎剛(Zhang Ligang)CEOは先ごろ、「2018中国企業領袖年会(China Enterpreneur Summit)」の席上、健康診断業界の混乱について触れ、一部の団体が作る検査報告書は偽物で、採血した血液を捨ててしまい検査レポートを書くとか、看護師が医師のような顔をして超音波を操作するという話をして、聴衆を驚かせた。

 企業の信用状況を調べると、美年大健康と愛康国賓の関連リスクについてはそれぞれ182本と204本の記載事項があるとしている。関連会社の行政処罰に関する事項には「非正規の衛生技術者を雇用」「登記範囲を超えた診療活動がある」「規定によらず健康検査を実施し処罰を受けた」などの記載が見られた。(c)CNS/JCM/AFPBB News