■改善の動き
 シエラレオネの刑務所はこのように厳しい状況ではあるが、わずかながら希望の光も見え始めている。

 法務省は、国連開発計画(UNDP)と米国の支援を受け、刑務官30人の訓練と刑務所の環境改善を推進する「刑務所から矯正施設へ」プログラムを実施した。またUNDPは、国内19の刑務所のうち8か所で、水道や下水施設などの建設・修復作業を行っている。

 だが、ニコラス・ブラウンマーク(Nicholas Browne-Marke)裁判官はAFPの取材に対し、資金不足にあえぎ、常に仕事が滞る同国の司法制度にも支援が必要だと語る。

 受刑者の85%を15歳から35歳が占めているが、若い受刑者の大半は軽犯罪で刑務所に入れられている。再拘留や裁判のための長期拘留が行われており、これが刑務所の過密を生んでいる。

 ブラウンマーク氏は、「受刑者の多くは、携帯電話の窃盗、薬物、けんかなどで収容され、だらだらと刑務所で時を過ごしている」と指摘する。

「裁判を迅速に行うことで刑務所の過密解消に努めている。裁判を素早く行えるように裁判官や判事用のモバイルアプリも開発中だ」 (c)AFP/Saidu Bah