【12月10日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・シティ(Manchester City)のラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)が、心ないやじを浴びた8日のチェルシー(Chelsea)戦後、「人種差別を助長する」と国内紙の姿勢を批判した。

 スターリングは0-2で敗れたチェルシーとのアウェーゲームで、外に出たボールを取りに行った際、スタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)のゴール裏のホームサポーターから差別的とみられるやじを浴びた。

 試合後、自身のインスタグラム(Instagram)を更新したスターリングは「チェルシー戦で何を言われたかについては、僕の反応を見てもらえば分かる通り、予想通りだったから笑うしかなかった」とファンの行動に驚きはなかったと話しつつ、以前の新聞記事を挙げて「黒人の若手選手はうがった見方をされている。それが人種差別や攻撃的な振る舞いを助長している」と話した。

「普段はよくしゃべるタイプじゃないけど、意見を知ってもらう必要がある時には声を上げる」と前置きしつつ、スターリングが取り上げたのは、チームに所属する21歳の黒人選手、トシン・アダラビオヨ(Tosin Adarabioyo)が家を買ったという今年1月の記事だった。

 記事では、アダラビオヨがリーグ戦に1試合も先発していないのにどうやって225万ポンド(約3億2000万円)もする家を買えたのかという書き方をされ、見出しにもなっていたのに対し、同じように家を買った白人の若手フィル・フォーデン(Phil Foden)の記事では、「将来への備え」をしたと書かれていた。

 スターリングは「同じチームに所属するキャリアを始めたての若手2人が、どちらも正しいことをした。時間と愛情をたくさん注いで育ててくれた母親のために家を買ったんだ。ところが新聞を見ると、若い黒人選手、そして白人選手の報じ方に作為的なものを感じる。それが許せない。どちらも純粋で、悪いことは何もしていないのに、表現の仕方が違う」と話している。

 そしてスターリングは、「この時代になっても、何が差別に当たるのかを理解していない新聞各紙にこう言いたい。公平な報道のあり方をよく考え、すべての選手へ平等にチャンスを与えてほしい」と訴えた。

 チェルシー戦の問題の場面はSNSで話題になっており、同クラブと警察が調査に乗り出している。イングランドサッカー協会(FA)も問題視しており、「差別発言はすべて重く受け止め、クラブや関係当局と連携しながら適切な処置を取る」と発表している。(c)AFP