【12月8日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は7日、同局の無人火星探査機「インサイト(InSight)」が火星の風による震動を捉えたと発表した。人類にとって初めて、火星の地面を吹きつける風の音を耳にすることができるようになった。

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 先月26日、火星へ着陸したインサイトは、太陽光パネル上を吹く風速5~7メートルの突風を感知した。

 風の震動を捉えたのは、インサイト内部に搭載された大気圧センサーと、ロボットアームで地表に設置される予定の地震計。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の主任研究員であるトーマス・パイク(Thomas Pike)氏は電話による記者会見で、「これは短周期地震計から届いた、本当に初めてとなる15分のデータだ」と述べた。

 パイク氏は、「風で旗がはためくのに少し似ている」「別世界の音のようだが、これが実際の通りなのだ」と説明した。

 インサイトの調査責任者を務めるNASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)のブルース・バネルト(Bruce Banerdt)氏は、北西から南東に吹いた風を感知したことについて「思いがけない褒美」だったと語った。

 またコーネル大学(Cornell University)の研究者であるドン・バンフィールド(Don Banfield)氏は、「気圧センサーからの音を聴くと個人的には、風の強い夏の午後、屋外に座っている時、吹き付けてきた騒がしい突風が耳元を通り過ぎるのを思い出す」と語った。

 火星の風の音声トラックは「https://www.nasa.gov/insightmarswind」のサイト上で聴くことができる。(c)AFP