■「発信」を始めたメラニア夫人

 だが、今年に入ってから、メラニア夫人はやや自分らしさを打ち出すようになり、それが当惑や混乱を生んでもいる。

 6月、メキシコ国境地帯にある移民収容施設を訪れた際に夫人は、「I REALLY DON'T CARE, DO U?(私はどうでもいい。あなたは?)」という文字がプリントされたジャケットを着ており、世論やメディアが騒然となった。

 10月には、自らが推進する児童福祉キャンペーン「Be Best(最高になろう)」の活動として、初の単独外遊でアフリカ諸国を歴訪したが、エジプトのピラミッドやスフィンクスの前でポーズをとって写真撮影するなど、夫人の見識や性格に多くの疑問符が付いた。

 さらにアフリカから帰国すると米ABCニュースの長時間インタビューに応じ、トランプ氏の不倫問題については「関心がない」と答える一方で、自分の身の回りで起きる論争についてはメディアを非難し「私は世界で最もいじめられている人間」だと述べた。

 発信を強めているメラニア夫人について、疑問を呈する声もある。米CNNは15日、リカーデル氏の解任騒動をめぐってトランプ氏は、自分が「あごで使われる夫のように見える」といって怒りを抱いたと報じた。

 米オハイオ大学(Ohio University)の歴史学者で、米大統領夫人の研究が専門のキャサリン・ジェリソン(Katherine Jellison)氏は、「夫の仰々しい性格とは対照的な」冷静さという、メラニア夫人最大の長点が失われる危険があると警告する。「彼女は夫にとって価値ある人物としてではなく、むしろ妨害者として終わる可能性もある」

(c)AFP/Sebastian Smith