■ファーストレディーの前代未聞

 歴代の米大統領夫人に関する書籍、「First Women: The Grace and Power of America's Modern First Ladies(ファーストウーマン 米現代版ファーストレディーの品格と権力)」の著者ケイト・アンダーセン・ブラウワー(Kate Andersen Brower)氏は、ファーストレディーが大統領のスタッフと争うことは「珍しいことではない」という。

 同氏が例に挙げたのは、故ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領のナンシー(Nancy Reagan)夫人が、夫の首席補佐官だったドン・リーガン(Don Regan)氏を解任させた有名な事件だ。しかしそれは舞台裏で行われた。

 だが、「ファーストレディーが声明を出して、夫に誰かの解任を要求するのは前代未聞だ」とブラウワー氏。

 またメラニア夫人の動きが注目されるのは、高所から決定的な打撃を加えたからだけではなく、そのタイミングだ。

 ボルトン補佐官は、トランプ大統領側近中の最強メンバーの一人として、自分の副官を守ろうとしたと報じられている。そのためメラニア夫人は、ボルトン補佐官がアジア訪問に出かけ、安全な時が来るのを待っていたのだ。

 ブラウワー氏はメラニア夫人について「引きこもりと言えるほど人前に出ない」と評する。そのため他人はごく小さな情報に基づいて、メラニア夫人像を描くしかない。