■自然温暖化vs人為的変動

 セベレック氏と研究チームは異なる角度からこの問題に取り組んだ。

 第1に、大半の気象学者にとっては気候変動の特徴的パターンを見えにくくする「ノイズ」である自然変動に着目したこと。第2に、最も長期的な予測をもたらす包括的な気候モデルではなく、簡素化した統計的手法を用いたことだ。

「今回の研究では、気候における経年の(短期的な)自然変動を予測するためのシステムを開発した」と、セベレック氏は説明する。その結果、「2018~2022年の期間については、平年値からの差(偏差)が人為的温暖化の影響と同等であることを発見した」という。すなわち、自然温暖化は今後5年間で人為的気候変動とほぼ同程度の影響を及ぼすということだ。

 海の熱波など、海の「温暖化現象」の発生確率は150%増加すると予測されている。

 確率予報(PRObabilistic foreCAST)を略して「PROCAST」と命名されたこの最新手法は、過去の気温記録と比較して検証した結果、少なくとも標準的なモデルと同程度の予測精度を持つことが判明した。

 PROCASTはノートパソコン上で数秒間で実行可能で、スーパーコンピューターでの数週間に及ぶ計算時間を必要としない。

「このシステムは気候予測を実行できる可能性をより多くの研究者らに、特にスーパーコンピューターを容易に利用できない国々の研究者らに向けて開くものだ」と、セベレック氏は述べた。

 研究チームは、地域的な予測や、気温に加えて降雨量や干ばつ傾向などの評価を行えるようにPROCASTシステムを適合させる予定だ。(c)AFP/Marlowe HOOD