■支配層エリートの育成

 学校は金一族が重要視してきた事業だ。康氏が生まれた平壌郊外のチルゴル(Chilgol)には、同氏の名を冠したエリート校もある。

 万景台学校の展示施設でガイドを務める人民軍兵士は、「最高指導者、金正恩同志は、われわれの革命的生徒全員の真の親である」と話した。

 日本による植民地支配が過去のものとなった今、万景台革命学院への入学の条件は、両親や祖父母の中に、国に忠実に仕えたとみなされた人物が1人でもいることだ。入学のプロセスについて、同校教育課で副長を務めるキム・ヨンホ氏は、「わが校では党(朝鮮労働党)や政府、そして祖国と人民のために闘った愛国者の子どもを選んでいる」とAFPに説明した。こうした背景から、この学校で形成される人間関係のネットワークは生涯にわたって続くと考えられる。

 北朝鮮政府は、国民は全員平等だと宣言している。だが、実際には「成分(ソンブン)」と呼ばれる社会政治的な背景によって非常に細かく分けられた世襲の階級制度が存在している。この制度では体制への忠誠心が重要な要素となる。祖先が資本家だったり、植民地時代に日本へ協力していたりした場合は、低い身分に位置付けられる。

 この「成分」の中で身分の高い者だけが、一流大学への入学や、首都に住む許可の取得が保証されているのだ。(c)AFP/Sebastien BERGER