【7月26日 AFP】欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の象徴的なリーダーであり、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)チームとしての名門フェラーリ(Ferrari)の復活にも貢献したセルジオ・マルキオーネ(Sergio Marchionne)氏が死去したことについて、F1界から「偉大なビジョナリー(先見の明のある人)」の死を悼む声が上がっている。

 マルキオーネ氏は、2014年9月にルカ・ディ・モンテゼーモロ(Luca di Montezemolo)氏に代わってフェラーリの会長に就任。当時のチームは、キミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)がチーム15回目のドライバーズタイトルを獲得して以来、7年にわたって年間チャンピオンの座から遠ざかっている状況だった。

 しかしハイブリッドシステムが導入された同年こそ苦しんだものの、チームはその後に迎え入れたセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が、2017年に年間2位に入賞。今季もベッテルはドイツGP(German Grand Prix 2018)でまさかのクラッシュリタイアに終わるまでは年間ポイントでトップに立っており、チームは本気で年間王者を争えるところまで持ち直してきている。

 かつてフェラーリのボスを務め、現在は国際自動車連盟(FIA)の会長となっているジャン・トッド(Jean Todt)氏は、「セルジオは自動車産業、そして世界のモータースポーツで、とてつもないことを成し遂げてきた」と話した。

「フィアット・クライスラーの復権のためにすべてをなげうち、フェラーリの返り咲きのために全身全霊を注いだ。まっすぐで我慢強く、勇敢な人物であり、先見の明を持った比類なきリーダーだった」

 フェラーリもチームのツイッター(Twitter)アカウントに、「われわれフェラーリの全員が、セルジオ・マルキオーネのような勇気あるリーダー、素晴らしい人間性と知性を持った人物とともに働けたことを、とても光栄に感じている。この悲しい瞬間に、われわれも家族とともに、彼のことをあふれる親愛の情をもって振り返ろう」と書き込んだ。

 フェラーリのライバルであるメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表も、マルキオーネ氏の死を悼んでいる。

「F1に携わるすべての人間にとって悲しい日だ。われわれはこのスポーツの大きな支持者であり、チームの強烈な競争相手であり、そして仲間や友人でもある人物を失った。難しい瞬間を過ごしているご家族、そしてフェラーリの皆様に心からお悔やみ申し上げる」

 年間優勝を2回経験し、2010年から2014年までフェラーリに在籍したフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)も「きょうは悲しい知らせがあった。安らかにセルジオ。偉大な人であり、いつもとても親切だった。ご家族と友人、すべてのフェラーリファミリーにお悔やみ申し上げる」と弔意を表している。

 マルキオーネ氏は、6月に右肩の手術を受けた後、深刻な合併症を起こし、25日に66歳でこの世を去った。(c)AFP/Septime MEUNIER/Raphaelle PELTIER