■数字から見えること

 サッカーW杯は、さまざまな形や規模で開催されており、チケット販売の比較だけで全体を把握することは到底できない。

 欧州や中南米の大会では、より多くの地域住民が試合観戦に訪れる傾向がある。これはアクセスの良さと親近感がその背景にある。

 サッカーW杯が初めてアフリカ大陸で行われた2010年の南アフリカ大会(2010 World Cup)は、セキュリティーとロジスティクスの面でのリスクが指摘されていた。しかしFIFAのデータによると、英国では今回のロシア大会よりも50%以上多いチケットの販売数があった。また、国別のチケット販売数が南ア大会では3位だったオーストラリアも、ロシア大会では9位に後退している。

 南ア大会のチケット販売数では、ドイツと英国がそれぞれ4位と5位、フランスが9位に入っていたが、ロシア大会では、ドイツのみがそのポジションをキープしただけで、英国は10位、フランスは10位以下と、その順位を大きく落とした。

 チケット販売数をめぐっては、米国が、ホスト国以外で常にトップとなってきた。経済規模の大きさと、サッカー人気の高いメキシコやその他の中南米のコミュニティーが国内に多数存在していることがその背景にある。

 今回のロシア大会のチケット販売数上位10か国のうち、米国をのぞくと3分の2は中南米の国々だ。