■ジェントリフィケーション戦争

 スタートアップ企業は資金と裕福なIT労働者をベルリンに引き寄せたが、彼らの流入によって、アーティストやアナーキスト、無断居住者たちにとって「貧しいが魅力的な」安息の地だったこの街は、高級でクールな都市に変貌してしまった。

 コンサルタント会社ナイト・フォックス(Knight Fox)の調査によると、2016~17年のベルリンの不動産価格上昇率は世界で最も高く、市内全体で20.5%、クロイツベルク地区では71%だった。

 だが、ジェントリフィケーションはベルリン全体に広がる現象だとグーグル上層部は考えており、自分たちがその責任を負わされるつもりはない。

 グーグル・ドイツの広報担当、ラルフ・ブレマー(Ralf Bremer)氏は「私たちはベルリンっ子で、ここに住んでいる」と述べ、2000年代初めから「賃貸料が上昇しているのは分かっている」と語る。そして「ジェントリフィケーションを止めるのは私たちの仕事ではないし、修正することもできない。だが、私たちは誰でも無料で参加できるワークショップやイベントなど有益なものを人々に提供することはできる」と言い添えた。

 だが、ラリー・ページブランク氏の見方は異なる。「グーグルで無料のものなど何もない。コーヒー代を払う代わりに個人情報を提供することになる」。クロイツベルクは「シリコンバレーのコピペのようなライフスタイルを受け入れない」と同氏は息巻いた。(c)AFP/ Daphne ROUSSEAU