■闘う決意

 親族たちは、死刑囚による工芸品は絶え間なく続く死刑執行の恐怖から気をそらしてくれると話す。

 グエン・ティ・ロアン(Nguyen Thi Loan)さんは政府に対し、息子のホー・ズイ・ハイ(Ho Duy Hai)さん(32)の無罪を主張する手紙を1500通以上送っている。息子の釈放を求める闘いのため、土地、家、行商人の仕事を諦めた。息子は2008年、女性2人を殺害した罪で投獄された。

 死刑執行予定だった2014年、直前になって大統領により死刑が中止されたため、再審への期待が高まった。

 刑務所に入ってから最初の数年、ハイ死刑囚はエビ、魚、馬などの作品を弁護士、恩師や親族に贈り物として送っていた。だが、ロアンさんはここ何年も一つの作品も受け取っておらず、看守が制作を禁じたのではないかと恐れている。「このような贈り物の制作は誰も傷つけない。なぜ息子に作らせてくれないのか?」と、ロアンさんは涙を流しながらAFPに語った。

 支援者らは、作品を通してハイさんの件に関心が高まることを期待している。ハイさんの作品はチュオンさんの作品とともに今年、アーティストのティン・グエン(Thinh Nguyen)さんによるアンダーグラウンドの展示会で並べられた。

 ティン・グエンさんは、官庁の外で息子らの釈放を呼び掛けていた家族たちと知り合い、数年前から家族たちを通じて死刑囚の作品を集め始めた。「これらの動物を展示することで彼らの物語が知られるようになる。作品を見ていると希望が見えてくる」と、ティン・グエンさんは語った。(c)AFP/Jenny VAUGHAN / with Tran Thi Minh Ha in Hai Duong