【3月1日 AFP】シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地区、東グータ(Eastern Ghouta)では2月28日、ロシアが提案した停戦が2日目を迎えたが、住民らは前日に引き続き、用意された安全な避難経路の利用を拒否している。反体制派とロシア政府は、この人道支援措置の行き詰まりについて、責任は相手側にあると互いに非難している。

 在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、東グータ地区ではシリア政府軍とその同盟国であるロシアによる攻撃が激化した2月18日以降の民間人死者数が600人を超えた。現地では爆撃がおおむねやんでいるものの、ロシアの提案した停戦期間中に遺体収容活動が進んだことが死者数増加の一因となったと同監視団は説明している。

 ロシアは26日、同地区で続く爆撃の「人道的停止」を発表。民間人が安全に避難できる時間帯として、毎日5時間の停戦期間が設けられた。だが今のところ、医療処置が必要とされる数百人の民間人は同地区から退避しておらず、支援車両も現地入りしていない。

 シリア政権は、イスラム主義勢力や過激派が民間人を人間の盾として利用するために「人道的回廊」に定められた地点を砲撃し、停戦を妨害していると非難。ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相も、反体制派が依然としてダマスカスを砲撃し、支援物資の搬入や住民の避難を阻んでいると批判した。

 AFPの取材に応じた東グータ地区の住民らは、シリア政府軍と共に同地区の空爆を実施してきたロシアが提案した停戦措置に対し、不信感を示している。また同地区内で活動する3つの主要武装組織はより国際的な保証を要求。国連(UN)に対して27日に提出した書簡で、いかなる避難措置も国連の監視下で実施するよう求めた。(c)AFP