■「敬意を欠くもの」

 抗議行動を展開する選手を批判するトランプ大統領に対し、NFLは一致団結した反応を示している。ロジャー・グッデル(Roger Goodell)コミッショナーは声明で、「意見を分断するようなこれらのコメントは、残念ながらNFLをはじめ、素晴らしい試合、そしてわれわれの選手全員への敬意を欠くものである」と批判。各球団のオーナーも、同大統領の発言を糾弾するコメントを発表した。

 しかし、最も明確な意思表示が行われたのは、トランプ大統領の演説から2日後の日曜日(9月24日)の試合でのことだった。リーグ全体で150人もの選手が国歌演奏時に膝をつき、キャパニックが発端となった運動をあっという間に再燃させるという、一つの政治デモとしてはNFL史上最大級となる抗議行動の波が広がった。

 小規模になりつつも選手の抗議行動が続くなか、トランプ大統領のNFLに対する辛口発言も続行。こうした状況下でNFLは難しいかじ取りを迫られており、政治的な攻撃から選手たちを守らなければならない一方で、国歌演奏時に起立しないことは国家への反逆だとみなすファンの反感も避けなければならないというジレンマを抱えている。

 NFLの上層部としては、リーグ規則によって抗議行動に一線が引かれることを期待しているが、国歌演奏時に選手がデモを行うことを禁止する明確な規定はない。(c)AFP/Rob Woollard