■厳しい意見も

 チェルシーさんは、30日放送の米テレビNBCの「トゥデー・ショー(Today Show)」に出演した。番組中、6か月前のヒラリー氏の敗北に家族はどう対処したのかと問われると、「わたしにとって、昨年起きたことよりも、進歩をどう守り進めるかの方がはるかに大事」と回答し、「それが私のDNAのなせる業か、それとも両親が常に示してきた、常に未来志向で、との手本に倣おうとしているのか、それは分からない」と述べた。

 また、ツイッターにみられるチェルシーさんの「辛らつでとがったオンライン上の性格」を詳細に分析した、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の3月の特集記事について問われると、「われわれは皆、今、沈黙を続けてはいけない責任がある。声を上げなければいけない」と語った。

 チェルシーさんは、父親の大統領任期中の1993~2001年にはまだ学生だった。スタンフォード(Stanford)、オックスフォード(Oxford)、コロンビア(Columbia)でそれぞれ学んだ後、ウォール街(Wall Street)で働いた。さらに米NBCの「特派員」にもなった。その時の報酬は60万ドル(約6650万円)と報じられた。

 現在はクリントン財団の副理事長を務め、またコロンビア大学の保健衛生政策学・管理学部で非常勤で働いているチェルシーさんは夫のマーク・メジンスキー(Marc Mezvinsky)さんと、米ニューヨーク(New York)マンハッタン(Manhattan)のマディソン・スクエア・パーク(Madison Square Park)向かいの超高級マンションに住んでいる。

 米国の元ファースト・チャイルドで彼女ほど目立つ人物は他にいないだろう。しかし、その大きな存在感がかえってあだとなることもあり、普段はトランプ氏に批判的なメディアの中にもチェルシーさんに対する厳しい論調を見ることができる。米誌ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)4月号では、「神様、チェルシー・クリントンを止めて」と棘(とげ)のある見出しが躍り、「リベラルにとって不要なのは、失敗した政治王朝の3代目」とのメッセージを発した。

 批評家らは、母親のヒラリー氏と同様、チェルシーさんは一般の有権者らの気持ちを理解する難しさに直面していると指摘する。彼女はこれまでにも、自身にとってお金が本当に重要なのかを知るために金融業界で働いていたとの発言で、世間から白い目で見られたこともある。

 それでもトランプ氏に敗北した民主党は、明確な指導者を求めていることに変わりはない。ある古参の民主党運動員はAFPの取材に対し、それがチェルシーさんである可能性を示唆している。(c)AFP/Jennie MATTHEW