■厳重な警備

 このように先行きが見通せないがゆえに、生産者や起業家の多くが可能な限り現金取引に頼っており、そのリスクは誰の目にも明らかだ。

 上述のカルビノ氏は、従業員の一人に「ベッドの下から4万ドル(約450万円)を持ち逃げされ、本当に痛い目を見た」と明かした。

 またハーバーサイドでは、同社のどの建物に入るのも、同国の金銀塊保管所があるフォートノックス(Fort Knox)を来訪するかのようだ。写真付き身分証明書と警備員によるチェックを受けなければ、中に入ることはできない。

 ディアンジェロ氏によると、「防犯カメラは約50台設置している。従業員には認証用の指紋採取を義務付けており、入場時には読み取り機に指紋をかざして通らなければならない」という。

 同社従業員は金庫室内で、手作業で慎重に現金を数える。オークランド(Oakland)市への納税も、毎月10万ドル(約1120万円)前後を現金輸送している。

 とはいえ業界の専門家らは、変化は確実に起こりつつあるとみている。

 大麻ビジネス投資・調査大手、アークビュー・グループ(Arcview Group)共同創設者のトロイ・デイトン(Troy Dayton)氏は、急成長する業界が数十億ドル規模に達するにつれ、連邦政府も銀行も、もはや黙殺してはいられないと指摘。

「大麻産業はいずれあまりに大きくなり、銀行もいちかばちか飛び込んでリスクを負わざるを得なくなるだろう」と話している。(c)AFP/Veronique DUPONT