【3月12日 AFP】ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領(76)が、嫌な感じがする、幽霊が出るとの理由で首都ブラジリア(Brasilia)の壮麗な大統領公邸、アウボラーダ宮殿(Alvorada Palace)から退去していたことが分かった。ブラジルのニュース週刊誌が11日、報じた。

 テメル大統領が、美人コンテストで優勝したこともある妻と7歳の息子と共に大統領公邸から副大統領公邸に移っていたことが今週明らかになり、ブラジル政治ウオッチャーを驚かせた。

 昨年9月にジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)前大統領が弾劾裁判で罷免されるまで副大統領を務めていたテメル氏が大統領に昇格した後も後任の副大統領は選ばれず、副大統領公邸は空いていた。

 大きなプール、サッカー場、礼拝堂、医療施設、広大な芝生のあるモダニズム建築の大統領公邸は、ブラジルの建築家、故オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)氏が設計したもの。多くの人にとっては夢のマイホームだ。

 しかしテメル大統領とその妻のマルセラ(Marcela Temer)夫人(33)は、前面がガラス張りのこの広大な建物をおばけが出て不気味だとしている。

 ニュース週刊誌ベージャ(Veja)によると、テメル大統領は「あそこでは何か奇妙な感じがした。最初の夜から眠れなかった。良くないエネルギーがあった」「マルセラも同じように感じていた。大統領公邸を気に入ったのは端から端まで走り回っていた(夫妻の息子の)ミシェウジーニョ(Michelzinho Temer)だけだった」と述べた。テメル大統領は「私たちは幽霊がいるのだろうか、とさえ考えるようになった」とも語ったという。

 日刊紙グロボ(O Globo)は、マルセラ夫人は悪霊を払うために司祭を呼び寄せたが効果はなかったと報じた。

 この引っ越しはブラジルの深刻な政治危機のただ中に行われた。テメル大統領に近い政治家の多くが汚職で調査を受ける可能性があり、テメル氏本人もルセフ氏の副大統領候補として出馬した2014年の大統領選の際に違法献金を受けたとされ、選挙裁判所で争っている。(c)AFP