【11月29日 AFP】通算9個の五輪金メダルを誇る陸上男子短距離のスーパースター、ウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)は28日、ファンにささげる現役最後のシーズンに向けて、現在のトレーニング内容が「前よりもリラックスしたもの」になっているとしながらも、勝利への意志は衰えていないと話した。

 現在30歳のボルトは、今年開催されたリオデジャネイロ五輪までの1年半を追った自身のドキュメンタリー映画『アイ・アム・ボルト(I am Bolt)』のプレミアが、英ロンドン(London)で開かれるのに先立ち、「前よりもリラックスしている。これからコーチと話し合って、トレーニングの内容を変更し、いつもと違うことをするから、これまでのシーズン前ほど激しくはならないと思う」と語った。

 来年8月の第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)で、その輝かしいキャリアに幕を閉じる準備を整えているボルトは、「それは主にファンのためなんだ。僕の親しい友人やファンが、生で自分が走る姿を見ることができなくなると話していた。だから、みんなには世界陸上やジャマイカでの最後の走りなど、直接見に来てもらえる機会をいろいろと設けられるようにしている」と語った。

「だから、今季は主にファンのためのものだ」

 その一方で、「どんなことでも、自分は絶対に負けたくない。単純なボードゲームでさえも負けたくないんだ。だから、ファンのためにと話していても、全力を尽くして競技に臨みたい。それでも、常に勝ち続けなければならなかったこれまでの8年間ほど重圧はない」と続けると、「勝たなければならないのは分かっているけれど、もっとシンプルに考え、ストレスも重圧も感じていない。とにかく、いつものように練習に励み、全力で競技に挑んでいく」と語った。

■「簡単ではない」

 2008年の北京五輪と2014年のロンドン五輪に続き、リオ五輪で100メートルと200メートル、そして4×100メートルリレーで優勝し、「3種目3連覇」を成し遂げたボルトは、今回のドキュメンタリー映画では、史上最も偉大なスプリンターになるべく、自分がどれほど努力してきたか分かってもらいたいとしている。

「自分に会うとほとんどの人間が、『おお、簡単にやり遂げたみたいだね』という感じに言ってくるけど、実際はそうじゃない。だから、自分がここにたどりつくまでの道のりをみんなに見てほしかった」

 一方、以前からプロのサッカー選手になりたいと繰り返してきたボルトは、ドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)の練習に参加する計画があると公表。独スポーツ用品大手プーマ(Puma)からキットの提供を受けているボルトとドルトムントは、同社を通じて連絡を取り合っているのだという。

 この日ボルトは、「参加しないわけがないだろ?」と話すと、「ずっと望んでいたことで、自分の実力を試してみたいんだ。だからシーズンが終わったら、そこ(ドルトムント)で、トライアルをするつもり。というよりは、ちょっとしたトレーニングかな」と明かした。(c)AFP