【10月11日 AFP】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)南米予選で苦戦が続くチリは11日、積年のライバルであるペルーとの絶対に負けられない戦いに臨む。チリは6日に行われたアウェーのエクアドル戦に0-3で大敗し、W杯出場圏内の5位まで5ポイント差としている。

 チリは2015年と2016年にコパ・アメリカ(Copa America)を連覇した強豪で、また長丁場の南米予選はまだ9試合を残しており、流れを変える機会は十分にあるが、そうは言っても、ホームで行われる今回のペルー戦を引き分け以下で終われば、3大会連続のW杯出場への道のりが非常に険しくなるのは間違いない。

 エクアドル戦の無残な敗戦のショックが残るなかで、MFマルセロ・ディアス(Marcelo Diaz)は「ゴールを決めることが必要だ。そしてホームで試合をする以上、絶対に勝たなければならない。今の僕らには、勝利以外の選択肢はない」と語った。

「エクアドル戦では非常に良くない、ひどい試合をしてしまった。それ以外の言葉が見つからない。今の僕らにできるのは、11日の試合に切り替えて、なんとかこの流れを変えることしかない」

 ベテランDFゴンサロ・ハラ(Gonzalo Jara)も、最近3試合で勝ち点1、それも予選最弱クラスのボリビア相手にホームでさえないスコアレスドローに終わっての勝ち点1という結果に、チームが動揺していることを認め、「集団としていいプレーができていないし、チャンスを作ることもできていない。いつもならできることなのに」と話している。

■歴史的な因縁のある両チーム

 そのなかで、唯一の明るい材料は相手がペルーだという点だろう。ペルーは1985年を最後にサンティアゴ(Santiago)で勝利がなく、今予選でもチリと大差ない低空飛行を続けている。前節はホームでアルゼンチンと2-2で引き分け、チリと勝ち点3差の8位にとどまっている。

 どちらも負けられない大一番の盛り上がりに拍車をかけるのが、「太平洋ダービー(Clasico del Pacific)」の因縁だ。アンデス山脈沿いの南米大陸の太平洋岸を国土とするチリとペルーは、1879年から1883年にかけて行われた「太平洋戦争」以来、サッカーでも激しいライバル関係が長く続いている。

 サッカーもたびたび両国の対立の原因となってきており、なかでもオーバーヘッドキックを初めて編み出したのはどちらかという論争は、現在に至るまで決着がついていない。

 チリは1914年の試合で自分たちが使ったのが最初だと主張し、オーバーヘッドのボレーシュートに「ラ・チレーナ」という名をつけている。一方でペルーは、1800年代終盤に港町のカヤオ(Callao)で試されたのが最初だという説を堅持し、「ラ・チャラカ」と呼んでいる。

 そのほかの試合では、チッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)新監督の下で躍動するブラジルが、ベネズエラ戦でこのところの好調を維持できるかに注目が集まる。

 ブラジルは前節の試合でボリビアに5-0で大勝し、解説者が「ホゴ・ボニート(美しいサッカー)」の復活とまくしたてるほどのサッカーを見せ、勢いに乗っている。アウェーゲームとはいえここまで未勝利の最下位ベネズエラが相手だけに、問題なく勝ち点3を手にして首位ウルグアイに引き続き重圧をかけるものとみられる。

 ボリビア戦で得点を決めたDFのフィリペ・ルイス・カスミルスキ(Filipe Luis Kasmirski)は、「僕らの攻撃はものすごく流動的で、たくさんチャンスを作った。最高の内容だったけど、この道を外れないようにして、試合ごとに強くなっていかなくちゃならない」と話した。

 その首位ウルグアイは、4位コロンビアとのアウェーゲームという難しい戦いに臨む。一方、リオネル・メッシ(Lionel Messi)を欠くなかで2試合連続引き分けのアルゼンチンは、ホームにパラグアイを迎える試合で3戦ぶりの勝利を目指す。(c)AFP/Oscar LASKI