【8月24日 AFP】リオデジャネイロ五輪、陸上男子マラソンで銀メダルを獲得したフェイサ・リレサ(Feyisa Lilesa、エチオピア)は22日、政治弾圧に抗議するポーズを取ったことについてエチオピア政府が身の安全を保証したにもかかわらず、母国に帰国しなかった。

 AFPの記者によると、エチオピア代表選手団を乗せた飛行機は、22日夜に首都アディスアベバ(Addis Ababa)の空港に到着したが、リレサは同便に搭乗していなかったという。

 エチオピアのスポーツ当局は、リオ五輪で計8個のメダルを獲得した代表選手団を祝福したが、銀メダルを獲得したリレサについて言及することはなく、同選手に対する質問にも応じていない。

 21日に行われたレースでは、ゴールする際にリレサが頭上で腕を交差させてエチオピア政府に抗議の意を示すと、表彰式でも再び同政府が反体制派の人々を弾圧していることについて抗議していた。リレサはその後、帰国することが怖いと語っている。

 報道では、リレサが米国に亡命し保護を受ける可能性があるとされているが、米国政府の広報官は今回の件について具体的なコメントは控え、「われわれはすべての政府が個人の意見を言う権利を尊重するよう促す」と述べた。

 リレサの代理人を務めるフェデリコ・ローザ(Federico Rosa)氏は、エチオピア政府が安全を保証したにもかかわらず、リレサが帰国することはないだろうとしている。ローザ氏は22日、AFPに対して「リレサが帰国する可能性はないと思う。たくさんの人たちが、帰国は彼にとって良くないと言っている」と明かした。

 リレサの代理人を3年間担当しているローザ氏は、同選手がこれから具体的にどのような手段をとるのか把握していないとしており、「レース後に少し話して以来、リレサとは話していないので具体的に何か明言することはできない」と語った。(c)AFP