【7月21日 AFP】米司法省は20日、マレーシアの政府系ファンド「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」の不正疑惑に絡み、ファンド関連の資産10億ドル(約1070億円)以上の差し押さえを求めて訴訟を起こした。1MDBを設立したナジブ・ラザク(Najib Razak)首相にとって打撃となりそうだ。

 カリフォルニア(California)州の裁判所に提出された文書によると、差し押さえの対象には映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)』の関連権利の他に、ビバリーヒルズ(Beverly Hills)の高級不動産、ニューヨーク(New York)のタイム・ワーナー・センター(Time Warner Center)のペントハウス、ロンドン(London)のベルグラビア(Belgravia)地区の物件など20近くの資産が含まれている。

 これらはすべて1MDBから資金が流用されたとみられている。5月に事実上解散されるまでナジブ首相が率いていた1MDBをめぐっては、汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)に利用された疑いが持ち上がっており、スイスやシンガポールの当局も関連口座の凍結に踏み切っている。

 ロレッタ・リンチ(Loretta Lynch)米司法長官は「司法省はアメリカの金融システムが汚職のルートとして利用されることを許さない」と述べた。(c)AFP